COLUMN

Excel(エクセル)の入力ミスを減らす方法注意ではなく仕組みで防ぐ5つの考え方

  • Excel
  • 入力ミス防止
  • 業務改善

Excel(エクセル)への入力作業では、入力間違いや入力漏れはなかなかなくなりません。

「入力するときによく確認する」「入力後にもう一度チェックする」といった対策も必要ですが、人が入力する以上、注意や確認だけでミスを完全に防ぐことは難しいものです。

そこで考えたいのが、「どうすれば間違えずに入力できるか」だけではなく、「そもそも手入力しなくて済む方法はないか」ということです。

この記事では、注意や確認だけに頼らず、入力ミスが起こりにくい状態を作るための5つの考え方を、具体例とともに紹介します。

1その手入力は本当に必要?

入力ミスを減らす方法を考えるとき、最初に確認したいのが、「その項目は、本当に手入力する必要があるのか」ということです。

例えば、別のExcelファイルやシステムにすでに顧客名や商品名が表示されているのに、それを見ながらもう一度キーボードで入力している場合があります。

「株式会社ABC」と表示されているものを見ながら、「株式会社ABC」と入力し直せば、打ち間違える可能性があります。

すでに正しい文字列が存在するのであれば、手入力するよりもコピーして貼り付けた方が、入力ミスを減らせます。

コピペするときは「何を貼り付けるか」に注意

ただし、Excelで Ctrl + V を使って貼り付けると、通常は値だけでなく、数式や書式なども貼り付けの対象になります。

必要なのが文字や数字だけであれば、「値のみ貼り付け」を使った方が安全な場合があります。

下の例では、B10の「田中愛」をB7には通常貼り付け、B8には値のみ貼り付けしています。通常貼り付けでは文字色や背景色などの書式も一緒に貼り付けられますが、値のみ貼り付けでは文字だけを貼り付けられます。

Excelの通常貼り付けと値のみ貼り付けの違い

例えば、コピー元のセルに色や罫線が設定されていても、値のみ貼り付けを使えば、貼り付け先の書式を変えずにデータだけを貼り付けられます。

「手入力をコピペに変える」だけでもミスを減らせますが、さらに、「何をコピーし、何を貼り付ける必要があるのか」まで考えると、余計な修正作業も減らせます。

2入力内容が決まっているなら選択式にできない?

次に確認したいのが、「自由に入力してもらう必要がある項目なのか」ということです。

例えば顧客区分が「個人」「法人」の2種類しかないのであれば、毎回キーボードで入力する必要はありません。

Excelのプルダウンを使えば、候補から選択できます。

Excelのプルダウンから顧客区分を選択する画面

また、自由入力できる項目では、「(株)」と「(株)」のように、全角・半角の違いによって表記がばらつくことがあります。

あらかじめ入力できる内容が決まっている項目を選択式にしておけば、入力ミスを減らすだけでなく、表記を統一することにもつながります。

商品名、担当部署、処理区分など、入力できる内容があらかじめ決まっている項目では、「入力してもらう」より「選んでもらう」ことができないか考えてみます。

3間違いや入力漏れにExcel側で気づけない?

すべての項目を選択式にできるわけではありません。

数量や金額など、数字を入力しなければならない項目もあります。

その場合でも、「正しく入力してください」と注意するだけではなく、Excel側で間違いをチェックすることができます。

入力できる値を制限する

例えば、数量として入力できる値が1~100までと決まっているのであれば、Excelの入力規則を使って範囲を制限できます。

101など範囲外の数字を入力すると、エラーを表示して入力を確定できないようにします。

入力範囲外の数字にExcelがエラーを表示する画面

「数量は1~100で入力してください」と説明を書くだけでは、101を入力すること自体はできます。

入力規則を設定すれば、間違いに気づいてもらうのではなく、間違った値をそのまま入力できない状態にできます。

入力漏れを色で知らせる

入力する値が正しくても、必要な項目そのものを飛ばしてしまうこともあります。

このような場合は、条件付き書式を使って、未入力のセルを目立たせる方法があります。

例えば、顧客区分を入力しないまま商品を選択した場合、飛ばした「顧客区分」を黄色で表示します。

入力を飛ばした顧客区分セルを黄色で知らせる画面

これなら、あとから表全体を見直さなくても、入力途中で漏れに気づきやすくなります。

また、次に入力する場所を青色で表示するなど、「間違いを見つける」だけではなく、「正しい入力順を案内する」こともできます。

次に入力するセルを青色で案内する画面

入力する人が、「次はどこだろう」「入力していないところはないだろうか」と毎回確認するのではなく、Excel側から知らせる仕組みに変えていきます。

4計算・判断を自動化できない?

入力ミスというと、文字や数字の打ち間違いを考えがちですが、「どの数字を入力するかを人が判断する」こともミスの原因になります。

例えば、

商品A 1,000円

商品B 1,500円

商品C 2,000円

という商品マスタがあるとします。

商品Bを選んだときに、担当者が別の表を確認して「1,500円」と入力する必要はありません。

商品を選択したら、VLOOKUPやXLOOKUPなどの関数を使って単価を自動表示できます。

さらに数量を入力すれば、「単価 × 数量 = 合計金額」もExcelで計算できます。

商品選択と数量入力から単価と合計金額を自動表示する画面

例えば、

商品B

単価 1,500円

数量 3

合計 4,500円

という結果を自動表示します。

こうすれば、「商品Bはいくらだったか」「1,500×3はいくらか」を人が確認・判断・計算する必要がありません。

入力ミスを減らすときは、「入力を正しくする方法」だけではなく、「そもそも入力しなくてよい項目にできないか」という視点も重要です。

5入力作業そのものをなくせない?

ここまで、手入力や判断など、人が行う作業を少しずつ減らす方法を見てきました。

さらに考えたいのが、「入力作業そのものをなくせないか」ということです。

例えば、別のシートやExcelファイルにあるデータを毎回コピーして、集計表などへ貼り付けている場合があります。

このような作業も、Excelの参照や関数を使って自動的に反映できる場合があります。

作業内容によっては、VBAなどを使って一連の処理を自動化する方法もあります。

ただし、最初からすべてを自動化する必要はありません。

手入力コピペ自動反映

いきなり大きな仕組みを作らなくても、「毎回入力していたものをコピーに変える」「毎回コピーしていたものを自動反映に変える」だけでも、人が入力する機会そのものを減らせます。

Excelの入力ミス対策は「注意」だけではない

ここまで紹介した方法をまとめると、

  1. 手入力そのものを減らす
  2. 決まった内容は選択式にする
  3. 間違った入力や入力漏れをExcelに知らせてもらう
  4. 計算や判断をExcelに任せる
  5. 可能なら入力作業そのものをなくす

という流れになります。

入力ミスが起きると、「もっと注意して入力しよう」「入力後にしっかり確認しよう」という対策になりがちです。

もちろん確認が必要な場面もあります。しかし、人が繰り返し行う作業では、注意だけでミスを完全になくすことは難しいものです。

だからこそ、「どうすれば間違えないか」だけではなく、「どうすれば間違える作業を減らせるか」という視点で考えることが重要です。

実際に「入力ミスが起きにくいExcel」を作ると

ここまで紹介した考え方を組み合わせて、入力ミス・入力漏れを防ぎやすくしたExcel入力シートを作成しました。

入力ミスや入力漏れを防ぐExcel入力シートの画面 入力ミス・入力漏れを防ぐExcel入力シート選択式、自動計算、入力規則、条件付き書式などを組み合わせ、入力ミスが起きにくい状態を作ったExcelの改善事例です。改善事例を見る →

この改善事例では、実際に操作できるサンプルExcelもダウンロードできます。

Excel以外でも「入力させない」方法はあります

業務改善はExcelだけで行うものではありません。

例えば、必要な書類や発送方法を毎回担当者が判断して文章を作っている場合、その判断を選択式にして、必要な案内文を作成する方法もあります。

必要書類・発送案内作成ツールの画面 必要書類・発送案内作成手続内容やお客様区分から必要書類を判定し、お客様向け案内文と社内向け発送依頼を自動作成する改善事例です。改善事例を見る →

大切なのは、Excelを使うことでも、特定の機能を使うことでもありません。

現在の作業を確認して、「人が毎回入力・判断・確認しなくてもよい部分はないか」を探すことです。